現役アナウンサー日記

現役アナウンサーのおもちです。アナウンサー試験や話し方をお伝えします。

【現役アナウンサーが徹底解説】信頼関係を築く『聞く姿勢』

「あなたには何でも話してしまう」

 

そんな言葉を言ってもらえる”聞き上手“になりたいと思いませんか?

 

現役アナウンサーが、

信頼関係を築く『聞く姿勢』の大切さやポイントについてお伝えします。

 

 

 

 

1.アナウンサーが大切にしているのは話すことより聞くこと

 

アナウンサーといえば、どんなお仕事を思い浮かべますか?

 

ニュースを読む姿、番組やイベントの司会を務める姿、現場からの中継…

 

堂々と話し、芸人やタレントからの無茶ぶりにも機転を利かした返しをして…と、比較的話す姿が印象的かもしれません。

 

しかし、アナウンサーの仕事では、話すことより聞くことの方が圧倒的に多いのです。

 

前提として、アナウンサーは主役ではありません。

 

数々のタレントや芸人が集う番組で、アナウンサーが自分のプライベートや感想を長々と話すのを見たことがありますか?

 

アナウンサーがタレント席に座っているまたはアナウンサー特集などは別ですが…

 

一般的にアナウンサーは、出演者に質問して感想を求めたり、出演者の話をしっかり聞いてリアクションをしたり、ときには出演者たちの会話を切りあげさせて、次の話題に進めたりと番組を進行しなければいけません。

 

また、野球の監督へのインタビューで、アナウンサーの感想が必要な場面は特になく、いかに監督からいい話を引き出すかが重要ですよね。

 

スポーツ実況では試合の実況に合わせ、

「○○選手のケガの状態は~」

「○○選手の出身地は北海道で、地元への恩返しをしたいと話していて…」など

選手の情報を伝えますが、

これも全て実況前に何度も取材し、話を聞いて得た情報を伝えているのです。

 

以上のような場面を振り返っても、人や食べ物、お店の魅力を聞いて(=引き出して)、伝える。

 

アナウンサーは聞く姿勢が大切なのです。

 

伝えるために聞いているものですから、裏を返せば、聞く姿勢を磨けば、アナウンサーのような伝え上手になれるということにもなりますね。

 

 

そして相手により深く話してもらうには、信頼関係を築くことが大切。

 

聞き上手な人にはついつい安心して喋ってしまう…

 

聞き上手は信頼関係の構築にも繋がるのです。

 

 

2.聞く姿勢のポイント。どうしたら聞き上手になれる?

 

それでは、どうしたら聞き上手になれるのでしょうか。

 

聞く姿勢のポイントは以下です。

 

①あいづちとうなずき

②オウム返し

③質問 

④表情(目線)

 

 

①あいづちとうなずき

 

そもそも、「あいづち」と「うなずき」の違いは何でしょうか?

 

相手の話に承諾や同意の気持ちを表すとき、

あいづちは、「うん」「へー」「はい」「ええ」など言葉を発して応答することで、

うなずきは首を縦に振ることです。

 

「しっかり話を聞いてくれているな…」と耳から聴覚的に伝わるのがあいづちで、目から視覚的に伝わるのがうなずきということですね。

 

そしてこれは、両者、程よい程度というのが大切です。

 

程よいってどんなの?と思うかもしれませんね。

 

基本的には相手が息継ぎをして間ができるタイミングであいづちを、それ以外でうなずきをしましょう。

 

「昨日、家の周りを散歩していたんだけど、(うん)今まで空き家だったところがお洒落なカフェに変わっててたから入ったの!(へー)

そこのランチがすっごく美味しくてさ、(えー!)また今度一緒に行きたいね!(行きたいね~!)」

 

この(あいづち)以外のタイミングで首を縦に1回または2回振るうなずきを続けましょう。

 

あいづちは、色んなバリエーションで発するといいですが、言葉選びも大切です。

 

友人や家族相手には「うん」「へー」「なるほど」でも大丈夫ですが、

目上の人が相手の場合や正式な場では「はい」「ええ」「そうなんですね」など丁寧な言葉を使いましょう。

 

また、間ができるタイミング以外であいづちをすると、相手のペースを崩すことになるので注意が必要です。

 

とはいえ、あいづちとうなずきはやりすぎて損はないので、ぜひ積極的に取り入れましょう。

 

 

②オウム返し

 

相手の話に上手く返したいけど、なんて言ったらいいかわからない…

 

そんな時に簡単に使えるのがオウム返しです。

 

オウム返しとは、“相手が言った言葉をそのまま繰り返すこと”で、復唱ということですね。

 

「今日仕事だと思ったらまさかの休みだったの」(えー!休みだったの!)

 

オウム返しをすると、普通のあいづちの時よりも、話を聞いてくれているんだなと感じさせることができます。

 

 

ここでさらにアナウンサーがよく使うポイントがあります。

 

それは、ただオウム返しするのではなく、整理して言い換えるオウム返しです。

 

オウムを瞬時に進化させるイメージですね(笑)

 

「今日仕事だと思ったらまさかの休みだったの」

(えー!それって急に自由な時間ができちゃったってことー!?)

 

「彼は中心に立って士気を上げるというよりは、重い荷物を持っている人を手伝うことや、率先してコートの整備をしてくれるんです。」

(ということは、彼は気遣いができて、縁の下の力持ち的存在でチームを支えてくれるんですね。)

 

こう答えると、「そうそう!それでね~」と相手が生き生きと話してくれるのです。

 

新しい話題を振らなくても、相手の話をまとめて整理するだけでいいんです。

 

言葉の変換力も高まるので、ぜひ少しずつ取り入れてください。

 

 

③質問

 

聞き上手な人は、全部の話を聞いているわけではありません。

 

もちろん聞いていないのではなく、その話を聞いて違うことを考えてもいいのです。

 

現役アナウンサーの私ですが、あいづちや頷きを駆使して、一見よく聞いてくれているな~と思われますが、頭の中は時間を気にしたり、質問を考えたり…

 

常に頭をフル回転させていると、聞き逃すこともしばしば。

 

「ん?今のどういうことだろう?」

「A店の話をしているけど、B店にも似たようなランチがあったな…聞いてみよう」

「お店の細かい場所は教えてくれないな…」

「あれ、色々考えてたら聞き逃しちゃった!なんて言ったんだろう…」 

 

そんな頭の中の疑問を言葉にするのが質問です。

 

正直に、ただし、決して相手に失礼があってはいけません。

 

「それって~ってこと?」

「B店にも似たようなランチがあったけど、どんな違いがあるの?」

「え、それってどの辺にあるお店?」

「あまりにも美味しそうに話すから妄想にふけっちゃったよ、もう一回言ってくれない?」

 

という風に質問を投げていくと、相手の話が膨らんでいきます。

 

 

いや、そもそも質問が思い浮かばないよ!っていう方。

 

 

そうですよね、実は私も質問を考えることに苦労した日々がありました。

 

そんな時は、過去・現在・未来で質問を考えてみてください。

 

 

例えば、ロボット開発の話題。

一生懸命話を聞いていても、難しくて話が理解できなくて何の質問も出てこないとしたら…

 

過去:ロボットを開発するまでどんな経緯があったんですか?/当時はロボットに詳しかったんですか?

 

現在:開発してから10年、どんなお気持ちですか?/どれくらいの数を生産しているんですか?

 

未来:今後の夢はありますか?

 

こうして時間軸で整理すれば、質問が浮かびやすくなります。

 

 

 

「ここまでの話を聞いて、質問はありませんか?」

「シーン…」                                    

 

よくあるこの場面をできる限り減らして、普段から質問を考えるクセを付けましょう。

 

 

④表情(目線)

 

 

終始ムスッとしている人よりも、笑顔でニコニコ話を聞いてくれる人に話をしたいですよね

 

普段から口角を上げ、目尻を下げてにっこりする。

表情から相手が話しやすい環境を作りましょう。

 

ここで心掛けたいのは目線です。

 

相手が話しているとき、どこを見ていますか?

 

相手の目ばかり見ていませんか?

 

 

視線は、目、鼻、口を交互に見ていきましょう。

 

およそ10秒ずつくらい。キョロキョロしてはだめです。

 

よく、相手の目を見て話しましょうと言いますが、相手の目をじっと見ていると圧迫感を与えます。

 

緊張感を与えると、相手が話しづらくなってしまい、「なぜかあの人と話すと緊張するんだよな」と思われてしまうことも。

 

とはいえ、目を全く見ないとなると、相手に不信感を与えてしまいます。

 

目、鼻、口と、相手が安心して話せる視線の配り方を心掛けてください。

 

また、右目と左目と鼻の三角形=トライアングル部分ををぼーっと見つめるというのも効果的です。

 

 

そして、視線だけでなく目線も合わせること。

 

子供に話を聞くときはしゃがんであげるなど、相手と同じ位置か、相手より低い位置で話を聞きましょう。

 

相手を上から見下ろす状態も、圧迫感を与えてしまうのです。

 

まとめ

 

いかがでしたか?

 

聞く姿勢の様々なポイントをお伝えしましたが、何よりも大切なのは、相手への思いやりです。

 

相手の話をしっかりと聞きたい。

 

相手に気持ちよく話してほしい。

 

そんな思いやりの強さがあれば、自然と聞く姿勢の柔らかさ意識が向いていくのです。